学年が進むにつれて勉強が楽しくなる、後伸び力の育て方(第7回)
受験勉強の意味を考えてみる①
受験勉強というと、必要悪のように述べられることが多いのですが、
例えば、壮絶な我慢大会であるとか、
ポジティブな表現だと、
克己心=己と向き合い、自分を乗り越える(克つ)機会なんて
言われることが多いです。
正しくとらえれば、決して悪いものではなく、
しかも単に克己心みたいな根性論だけでなく、
知的能力の伸長についても、いいことだらけなのですが、
点取りゲームとして扱ってしまうからおかしなことになるのです。
入試にどのような意義があるかを、
シリーズで話してみたいと思います。
知的好奇心の余熱で、点数・合格を勝ち取る。
と、弊塾のモットーにしていますが、
「知的好奇心」というと聞こえはいいですが、
我流・独善と常に隣り合わせの、
危険な代物です。
まして、小中学校の内容は、義務教育だけあって「最低限度」必要なものです。
五教科全科目、しかもジャンル偏りなく興味関心がある生徒なんて、
今まで会ったことがありませんし、
小中学生の時点で、そこまで完成されている必要もありません。
例えば算数・数学が好きな子でも、実は図形だけとか、
社会が好きな子でも、歴史だけ、しかも戦国時代だけ、
というのがほとんどですし、それでも充分優秀なうちに入ります。
入試はバランス良く点数が取れないといけませんから、
我流に陥りやすい知的好奇心をフラットにするには、
とてもいい機会です。
単に興味関心を持つきっかけを広げるだけでなく、
既にある興味関心も、違うジャンルが加わることで、
より鋭くなるというのもよくある話です。
好きなジャンルというのは、
最初から好きで好きでしょうがなくて、
勉強するのも苦ではなく、
いつもウキウキと取り組んでいる状態と誤解している人も多いです。
苦しい状態や、
わからなくて投げ出したくなる状態があって、
それを乗り越えたからこそ、
好奇心といえると思います。
受験勉強期間は、〆切内にある程度結果を出さなくてはいけないので、
否が応でも、苦しい状態と向き合わなくてはいけません。
ですから、
入試を乗り越えたあとに、好きな科目や分野が増えているはずです。
点取りゲームの中でしか頑張っていなかった子は、
入試を乗り超えた後、
「辛い中でも頑張れた」という、
克己心ばかりが、得たことの中心になるでしょう。
受験勉強における大事なポイントのひとつめは、
この「教養バランス調整機能」とでもいいましょうか、
どちらにしても、
受験勉強をゴールと考えるのではなく、
受験勉強はきっかけに過ぎないと考えることが大事です。
➡第1回 「概念がある程度入ってからがお勉強です」はこちら
➡第2回 「思考力を育てるには?」はこちら
➡第3回 「情報処理能力と読解力」はこちら
➡第4回 「読解力は大きくなれば身に付くわけではない」はこちら
➡第5回 「頭が悪いのではなく、具体が入っていないだけ」はこちら
➡第6回 「受験勉強が悪いのではなく、勉強のイメージが偏っているだけ」はこちら
塾内文庫は貸出も可。出版社や学者も唸るような良書で、しかも面白い本を厳選してある。
※掲載されている情報は、2021年7月以前に取材した内容です。時間の経過により実際と異なる場合があります。
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