学年が進むにつれて勉強が楽しくなる、後伸び力の育て方(第4回)
読解力は大きくなれば身に付くわけではない
前回は、入試問題では情報処理能力を問うのが精いっぱいで、なかなか読解力まで問えていないのですが、読解力は「自分で勉強する」には不可欠の要素だとお伝えしました。今回はその読解力をどのように育成すればいいかという話です。OECD(経済協力開発機構)の国際学力到達度調査(PISA)では読解力を「情報の取り出し,解釈,熟考・評価する力」としています。私は細かく分け、情報の取り出しは「情報処理能力」、解釈・熟考する力は「読解力」すなわち「文字で書かれた内容を再構成できる能力」と定義しています。90年代くらいから、テレビを中心に「何となく理解できるもの」が世の中で重視されてきたので、読解力自体は大人も疑問符が付くところがあります。現代はさらに動画も加わっていますので、放っておいても勝手に身に付く力というわけではない、というのが注意点です。そして前回も言いましたように、情報処理能力とテストの点数は、国語の成績と相関が強いですが、読解力は国語のテストの点数が高くても、身に付いていない生徒の方が圧倒的に多いです。
《読解力の身に付け方》
子どもが小さいうちは読み聞かせが一番です。保護者なりに気持ちを込めて、そこから言葉が持つ複雑な意味合いを汲み取っていきます。読み聞かせをしているのに、イマイチだと思う場合は、感想を言い合ってみるといいです。読解力が不得手な子は、大人がどのように言葉や物語を解釈するか、実例を知らないのがシンプルな原因であることも多いです。子どもに音読をさせてみて、改行のところで詰まったり、意味が切れるところでうまく切れなかったりする子は、文字面を追っているだけで、文章を頭に入れて再構成できていない典型例です。まず一息で読むところまで、一旦頭に入れてから、読むようにしてみましょう。子どもが高学年や中学生でも国語の点数が低い場合は同じなのですが、問題は国語の点数は高いのに、読解力が不足している場合です。寺子屋ではいくつかのアプローチをしているのですが、ひとつだけ紹介しますと、基本は教科書です。教科書を暗記するくらいまで熟読して、分からない言葉や事象はきちんと調べて、深く理解するといいです。
➡第1回 「概念がある程度入ってからがお勉強です」はこちら
➡第2回 「思考力を育てるには?」はこちら
➡第3回 「情報処理能力と読解力」はこちら
幼児・低学年コースの授業で使う教具。このコース出身の中学生の平均偏差値は66。センスをじっくり育てる。
※掲載されている情報は、2021年4月以前に取材した内容です。時間の経過により実際と異なる場合があります。
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