学年が進むにつれて勉強が楽しくなる、後伸び力の育て方(第3回)
情報処理能力と読解力
前回、「難化したと言われる大学入試共通テストは、読解力ではなく、情報処理能力が問われる内容だ」と述べました。情報処理能力というのは、本文全体をある程度把握した上で、効率良く設問の該当箇所を探すという能力のことです。学校教育や受験現場で死語になって久しい言葉に「行間を読む」があります。読解力はまさに本文の内容を深く理解した上で、再構成したり推測したりする能力です。今、受験では、ほとんどが情報処理能力を問うのに精いっぱいで、読解力まで問い切れていないのが現状です。都市部の中学校受験や金大附属中高の入試問題、難関国立大学二次試験、難関私立大学の個別試験等でしか、読解力を求められる問題が出題されることはありません。読解力が身に付きつつある生徒に、そのスピードアップのために情報処理能力を養うのは合理的ですし、読解力は自学力には欠かせない力です。
《読解力どころではない現状》
『AI vs 教科書が読めない子どもたち』という国立情報学研究所の本が衝撃的だと話題になりました。中高生の読解力不足の原因は成績層に関係なく、パターン学習で点数を取ってきただけで「問題の中身を理解していない」という結論でした。これは日頃の指導での実感とぴったり一致するものでした。AI(人工知能)のように、文章全体を把握することなくキーワードだけを拾って読んでいる子が、小学生を中心に激増している印象です。この傾向は国語だけでなく算数でも顕著です。文章題で間違えると「これは何算で計算すればいいの?」と聞いてきたり、数字合わせで答えを出そうとしたり、という特徴があります。だから、まずは本文をある程度把握できているかという、情報処理能力を問うのです。「そんなのは成績が芳しくない生徒の話でしょう?」いえいえ、前掲書でも指摘されているように、成績層に関係なくトップ層にも見られる現象です。次回は、自学力に不可欠な読解力育成についてお話しします。
➡第1回 「概念がある程度入ってからがお勉強です」はこちら
➡第2回 「思考力を育てるには?」はこちら
幼児・低学年コースの授業で使う教具。このコース出身の中学生の平均偏差値は66。センスをじっくり育てる。
※掲載されている情報は、2021年2月以前に取材した内容です。時間の経過により実際と異なる場合があります。
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