【体験レポ】『国立工芸館』にて開催中の「卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展」に行ってきました!
唐澤館長が展覧会に込めた想いや、鈴木氏ご本人の感想をお伺いしました!
近現代の工芸・デザインを専門とする美術館『国立工芸館』にて、6月2日(日)まで「卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展」を開催。日本を代表する陶芸家、鈴木藏(すずき おさむ)氏の卒寿を記念し企画した本展の見どころを、国立工芸館の唐澤館長が語ってくださいました。志野焼の伝統を大切にしながら鈴木氏の美意識を映し出した独自性に富んだ、初期から最新作までの作品を一堂に展示しています。内見会当日には鈴木氏も来場しており、ご本人の感想を伺うことができました。
ここが魅力!『国立工芸館』
鈴木氏の展覧会のご紹介の前に、まずは『国立工芸館』についてご紹介します。石川県金沢市の中心部に位置する『国立工芸館』は、近現代の工芸・デザインを専門とする美術館です。展覧会やラーニング・プログラムなどを通して、形式にこだわらない広い視点で「工芸」「デザイン」の世界が発信する新しい魅力を紹介しています。日本の工芸にはじめてふれる方はもちろん、誰もが気軽に楽しめるように、工芸の各技法や専門用語などをわかりやすく説明するタッチモニターのコーナーがあり、工芸とであう場、学ぶ場としても最適ですね。
同館は日本と海外の工芸およびデザイン作品を収集し、近現代における工芸の体系的コレクションの充実を図っている中、鑑賞者のために作品の状態を良好に保ち続けることができるように、より適切な環境のもとで作品を管理していくことを大切にしています。
なお、『国立工芸館』は教育普及にも注力しています。展覧会にあわせて講演会やトークイベントなどを開催するほか、オンライン上で解説ボランティアによる所蔵作品ガイドや、未就学児を含む家族で楽しめるワークショップも実施しています。工芸・デザインの魅力と、時を超えて広がる豊かな世界を楽しく、ていねいに発信している『国立工芸館』に、気軽に訪れてみてはいかがでしょう。
■左から:旧陸軍第九師団司令部庁舎(1F階段ホール)、国立工芸館 エントランス風景、旧陸軍第九師団司令部庁舎(司令団長室) ラウンジ 写真すべて 太田拓実
同館は日本と海外の工芸およびデザイン作品を収集し、近現代における工芸の体系的コレクションの充実を図っている中、鑑賞者のために作品の状態を良好に保ち続けることができるように、より適切な環境のもとで作品を管理していくことを大切にしています。
なお、『国立工芸館』は教育普及にも注力しています。展覧会にあわせて講演会やトークイベントなどを開催するほか、オンライン上で解説ボランティアによる所蔵作品ガイドや、未就学児を含む家族で楽しめるワークショップも実施しています。工芸・デザインの魅力と、時を超えて広がる豊かな世界を楽しく、ていねいに発信している『国立工芸館』に、気軽に訪れてみてはいかがでしょう。
■左から:旧陸軍第九師団司令部庁舎(1F階段ホール)、国立工芸館 エントランス風景、旧陸軍第九師団司令部庁舎(司令団長室) ラウンジ 写真すべて 太田拓実
「卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展」の見どころ
陶芸家鈴木藏氏の軌跡と"今"を紹介。約60年にわたるキャリアを代表する傑作が集う貴重な展覧会。
日本を代表する陶芸家鈴木藏(1934-)氏は、59歳で重要無形文化財「志野」の保持者に認定され、現役陶芸家として最長の人間国宝です。薪窯でしか焼けないとされていた「志野」にガス窯で挑戦した鈴木氏。自然への畏敬の念を重んじ、伝統を大切にした中から独自の作陶スタイルを確立しています。今回は、初期の公募展受賞作や入選作から最新作15点の茶碗まで4章にわけて紹介。多彩な「志野(志埜)」作品と作風により、作域の幅広さと奥深さを実感できます。鈴木氏が深い影響を受けた桃山時代の名品をはじめ、原点となった焼き物とも言える重要文化財 《鼠志野茶碗 銘 峯紅葉》の展示や、鈴木氏が「初めて志野らしく焼けた」と語ったガス窯における記念碑的な作品《志野大皿 波涛》、近作である食器揃いの会席の器「流旅轉生(りゅうりょてんしょう)」まで奥行きのある作陶の世界に浸れます。
初個展から現在に至るまで、多彩な技法を駆使する姿勢は変わらず、作域とともに造形の変遷を見比べられるのも本展の魅力です。造形や装飾に制作時の考えが映し出される茶碗、自由に楽しんで制作したという水指や、自然のテーマを表現する花器など、各作品に共通する「力強さ」も窺い知れます。なお、鈴木氏の背中を見て育ち、自らもつくり手として活動を展開する長男・鈴木徹、三男・鈴木健の近作も展示。素材の吟味にはじまり、技術・技法の探究や父とも異なる表現を生み出そうと奮闘する姿も感じ取れる展示となっています。
■左から:志野象嵌花器 1961年 国立工芸館蔵、志野茶盌 1968年 個人蔵、志野壺 1976年 個人蔵、志野茶碗 2023年 個人蔵
初個展から現在に至るまで、多彩な技法を駆使する姿勢は変わらず、作域とともに造形の変遷を見比べられるのも本展の魅力です。造形や装飾に制作時の考えが映し出される茶碗、自由に楽しんで制作したという水指や、自然のテーマを表現する花器など、各作品に共通する「力強さ」も窺い知れます。なお、鈴木氏の背中を見て育ち、自らもつくり手として活動を展開する長男・鈴木徹、三男・鈴木健の近作も展示。素材の吟味にはじまり、技術・技法の探究や父とも異なる表現を生み出そうと奮闘する姿も感じ取れる展示となっています。
■左から:志野象嵌花器 1961年 国立工芸館蔵、志野茶盌 1968年 個人蔵、志野壺 1976年 個人蔵、志野茶碗 2023年 個人蔵
鈴木藏氏ご本人に感想を伺いました!
不均整でゆがみを持ったものだからこそ、表現の内容は深く広がる。
本展覧会の開催にあたって、鈴木氏は何度も「ありがたい」との気持ちを語りながら、これまでの作品を振り返りました。そして今もなお「もっとこうすればよかった」と、より良いものを目指す精神がそこにはありました。常に挑戦する鈴木氏の姿は、陶芸の世界のみならず、つくり手にも刺激を与え続けているのではないでしょうか。
鈴木氏は、「偶然を待つのではなく、私は確かな意志あっての待ちを選ぶ」と、ぶれない作陶姿勢を徹底。素材への研究や多彩な技法により、焼き物が持つ多面的な魅力を引き出してみたいとの深い思いにより、数々の作品を生み出してきました。「端正な造形を持たない日本的な焼き物は、不完全な造形ながら好まれる」と鈴木氏。志野は、不均整でゆがみを持ったものだからこそ、表現の内容は深く広がるのだと述べました。
「志野は自然を表現するのに最も適した材質のひとつ」とも語るように、鈴木氏は「自然」をテーマに、豪快で力強い作品を制作してきました。2階『芽の部屋』にて展示される大型花器の志野陶塑などは、器でありながら、そのスケールの大きさにも注目です。本展では窯業研究者としての鈴木氏も窺えます。志野の釉薬の原料となる長石を世界中から集め、テストを繰り返した約1万ピースあると言われるテストピースを40枚ほど展示し、鈴木氏の素材へのこだわりも感じることができるでしょう。
■卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展
・会期/2024年3月19日(火)〜6月2日(日)
・休館日/月曜(4/1, 8, 29, 5/6は開館)、5/7(火)
・観覧料/一般1,000(900)円、大学生600(500)円
※( )内は20名以上の団体料金および割引料金。
※いずれも消費税込。
※高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方と付添者(1名)は無料。
・展覧会の詳細はこちら
鈴木氏は、「偶然を待つのではなく、私は確かな意志あっての待ちを選ぶ」と、ぶれない作陶姿勢を徹底。素材への研究や多彩な技法により、焼き物が持つ多面的な魅力を引き出してみたいとの深い思いにより、数々の作品を生み出してきました。「端正な造形を持たない日本的な焼き物は、不完全な造形ながら好まれる」と鈴木氏。志野は、不均整でゆがみを持ったものだからこそ、表現の内容は深く広がるのだと述べました。
「志野は自然を表現するのに最も適した材質のひとつ」とも語るように、鈴木氏は「自然」をテーマに、豪快で力強い作品を制作してきました。2階『芽の部屋』にて展示される大型花器の志野陶塑などは、器でありながら、そのスケールの大きさにも注目です。本展では窯業研究者としての鈴木氏も窺えます。志野の釉薬の原料となる長石を世界中から集め、テストを繰り返した約1万ピースあると言われるテストピースを40枚ほど展示し、鈴木氏の素材へのこだわりも感じることができるでしょう。
■卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展
・会期/2024年3月19日(火)〜6月2日(日)
・休館日/月曜(4/1, 8, 29, 5/6は開館)、5/7(火)
・観覧料/一般1,000(900)円、大学生600(500)円
※( )内は20名以上の団体料金および割引料金。
※いずれも消費税込。
※高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方と付添者(1名)は無料。
・展覧会の詳細はこちら
これからの展覧会もわくわくがいっぱい
多様な鑑賞体験ができるように、今後も楽しい展覧会をたくさん開催するそうです!
工芸とデザインの魅力を楽しく丁寧に発信している『国立工芸館』。誰もが訪れるたびに新しい世界を発見し、学べる場所となっています。多様な作品を鑑賞しながら工芸やデザインの素晴らしさをより強くアピールできるようにと、これからも楽しい展覧会がたくさん控えています。ぜひ公式サイトをチェックして、気軽に足を運んでみてくださいね!
■おとなとこどもの自由研究 工芸の光と影展
・会期/2024年6月18日(火)〜8月18日(日)
・詳細はこちら
■心象工芸展
・会期/2024年9月6日(金)〜12月1日(日)
・詳細はこちら
■反復と偶然の工芸展(仮称)
・会期/2024年12月17日(火)〜2025年2月24日(月・祝)
・詳細はこちら
■花と暮らす展
・会期/2025年3月14日(金)〜6月22日(日)
・詳細はこちら
■おとなとこどもの自由研究 工芸の光と影展
・会期/2024年6月18日(火)〜8月18日(日)
・詳細はこちら
■心象工芸展
・会期/2024年9月6日(金)〜12月1日(日)
・詳細はこちら
■反復と偶然の工芸展(仮称)
・会期/2024年12月17日(火)〜2025年2月24日(月・祝)
・詳細はこちら
■花と暮らす展
・会期/2025年3月14日(金)〜6月22日(日)
・詳細はこちら
■展覧会/イベント一覧はこちら
【読者プレゼント】※終了しました
「卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展」入場券2枚1組を5名様に
ご希望の方はこちらから
【応募条件】
①国立工芸館のインスタまたはX(旧Twitter)アカウントをフォローしてくださった方
②金沢日和のインスタアカウントをフォローしてくださった方
【応募締切:2024年4月20日(木)】
◇当選は商品の発送を以て替えさせていただきます。
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②金沢日和のインスタアカウントをフォローしてくださった方
【応募締切:2024年4月20日(木)】
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※掲載されている情報は、時間の経過により実際と異なる場合があります。(更新日:2024年03月29日)