オーナーシェフ、澤田謙二さんの手にかかれば、フルコースに約20種類もの野菜が盛り込まれる。曰く「肉や魚は野菜の引き立て役」。生物史において、あらゆる動物が野菜をはじめとする植物によって命を繋いできたことに感謝しながら調理場に立つという。
　週に三度は白山市の中野農園へ赴く。栽培してもらう野菜の種類は中野さんに一任しており、どんな野菜も「農家の息子」ならではの発想と東京の名店で研鑽した腕で、根や茎まであますことなく味わい深い一皿に仕上げる。とりわけ夏は野菜が充実する季節という。トマトだけでも10数種類、コールラビ、コリンキーなど、まだ馴染みのない野菜も数多。艶々と輝く色鮮やかな野菜を味わえば、心身に力が漲ってくる。