今でこそ「フレンチを気軽に」というコンセプトのレストランが増えたが、先駆けといえる一軒。オープンキッチンのカウンターには、お客が訪れる度に暫し手を止め、笑顔で迎える大田シェフの姿がある。気さくな人柄が滲む温かい雰囲気に、たちまち親近感が湧く。
　オープンは、カウンターのフレンチがまだ珍しかった15年前。「大好きなフランス料理を肩肘張らずに楽しんでもらえる〈町のレストラン〉にしたくて。自分もお客様と顔を合わせて料理を作り、距離を縮めたいと思ったのです」。当初から値頃なランチも設定。素材の滋味に溢れた完成度の高いフレンチをぐっと身近にしてくれた。端正な印象のダイニングには程よい緊張感が保たれており、絶妙なバランスがいっそう好ましいのだ。