金沢から車で30分。白山の麓に広がる鶴来の町は、いかにも自然がおいしい。『和田屋』は江戸時代の創業で、現在の主人は6代目にあたる。別称「柳茶屋」として親しまれてきたこの店、もとは街道筋にあり、行商の休み処として繁盛していたものを、酒と料理でそのまま寝込んでしまう客が多かったことから、旅の宿を始めることになったという。
　7室ある客室には、いずれも囲炉裏が切られ、そこでいただく山菜料理や川魚料理は筆舌に尽くしがたい旨さである。「ぬくもりが一番のおもてなしでしょうか」という女将の接待もいかにも気が張らなくて気持ちのよいものだ。