2012年の移転を経て、牧野シェフの料理は一段と進化。「飽きっぽい性分で、同じ料理でも昨日と今日ではどこか変えている。7、8割は自己満足ですが、自分自身が楽しんで作っていたら、お客様にも伝わるはず」と屈託ない笑顔だ。
　目指すは〈記憶に残る一皿〉。コースの中で一品でも、熱や勢いを感じてもらえる料理が提供できればと話す。「見た目ばかりの料理や無難な仕事はしたくない。感動のある料理をと思うのです」
　持ち前の柔軟性が発揮される品々は、和食やイタリアンに着想を得ることも。奇を衒うのではなく、悔いのないよう自分のやりたいことを素直に――。まっすぐな思いが個性の源である。