北陸新幹線金沢開業で、ますます活気づく金沢駅前エリアの魅力溢れる実力店や
界隈の定番の味など、初めての観光でも十分楽しめるスポットをご紹介します。
戦前、初代が開いた麺類と寿司の店から出発した『髙﨑屋』。現在は、紅殻格子が目印の店構えとなり、寿司や当地ならではの一品を味わえる店として地元の人や観光客に知られている。
創業から80年近い歴史の中、店舗や品書きは時とともに変化してきたが、一方で変わらず受け継がれているものもある。その一つが「だし」。麺類を手がけていた頃から守り続ける独自のだしは、茶碗蒸しや天つゆ、酢物など、今も供する料理の味のベースとなっている。
古くからの常連客にとってはお馴染みの「髙﨑屋の味」。店とともに歩んできたその味を、往時に思いを馳せつつ楽しみたい。
石川県金沢市本町2-19-20 TEL/076-231-3589
営/11:30~14:00(L.O.)、17:30~21:30(L.O.)
休/水曜 席/74席
P/3台
予算/5,000円~
金沢駅前の大通りからちょっと入った小路に、さりげない佇まいで店を構える。メニューは、新湊や富山湾の漁港からその日に仕入れた新鮮な魚介類を中心に構成される。富山の漁師町で育ち、金沢の有名居酒屋で腕を磨いた主人・石黒さんの魚を見る目は厳しく、妥協を許さない。納得のいかないものは、業者が持ってきても返してしまうほど。また、海鮮料理だけでなく、「ビーフシチュー」など肉料理の評判も高い。しっかりとした目利きと仕事によって仕入れた素材は、石黒さんの手によりどこか懐かしい心和む料理に変わる。酒は主人の好みで北陸を中心に全国から選んだ逸品揃い。絶品の料理と酒を味わえば、自然と幸せな気持ちになることだろう。
石川県金沢市本町2-6-24 TEL/076-262-0940
営/17:00~23:00(L.O.) 休/日曜
席/40席
P/なし
予算/5,000円~
地元石川県の猪や本州鹿、幻霜豚など、1年を通じて、とっておきの肉料理を提供。狩猟免許を持つシェフの中野慎也さんは自ら現地へ出向き、その動物が育つ環境や、生産者やハンターの思いを知った上で料理と向き合う。「理解を深めることで一皿への思い入れも増す。そういったストーリーを大事にしたい」と、目を輝かす。魚介も然り。毎週金沢港へ赴き、揚がったばかりの魚の顔を見ながら、懇意の仲買人より仕入れる。素材の持ち味や季節に合わせてアレンジするソースが、新鮮味のある一品に仕上げている。
料理とワインの取り合わせも追求しており、「ワインは最後の調味料」と話す。料理もワインも「お任せ」が、常連の定番だ。
石川県金沢市本町2-9-28 TEL/076-260-4343
営/1階バル18:00~翌2:00(L.O.翌1:00)、2階レストラン18:00~24:00(L.O.23:00)
休/日曜(月曜祝日の場合は営業し、月曜休)
席/1階16席、2階25席 P/なし
予算/1階バル3,000円~、2階レストラン5,000円~
明治末期に建てられた、なまこ壁の金沢らしい店構えが目を引く老舗のステーキ専門店。靴を脱いであがるスタイルの店内は畳敷きのカウンター席からなり、しっとりと落ち着いた風情を醸し出している。メニューは、昼2種類、夜3種類のコースが基本。シェフは、「メインはあくまでステーキ。能登牛の旨みを味わって頂きたいですね」と語り、老舗店としての矜持をのぞかせる。ステーキに用いる牛肉は、能登牛プレミアム、A5ランクの和牛を使用。お客の嗜好に合わせて最良のタイミングで焼き上げ、肉本来の風味をダイレクトに感じさせてくれる。コースの結びには薄茶と干菓子のさりげない心遣いで後味すっきり。心地良い余韻がいつまでも続く。
石川県金沢市本町2-9-21 TEL/076-221-9705
営/11:00~13:30、17:00~20:30
休/月曜(祝日の場合は翌日) 席/カウンター11席
P/3台
予算/昼2,980円~、夜6,670円~
「まともな物をまともに作っていきたい」と語るのは店主の越竹秀彦さん。独立前、研究のため、あちこちのラーメンを食べ歩いた結果、半年で体重が10キロも増え、さらには献血を断られるほどの健康状態になってしまったという。「この体験で、流行りのラーメンに疑問を持ちました。自分が目指すのはこれではいけないなと。毎日でも食べられるものでなければ」。そんな経験からスープは鶏ガラと手羽先、野菜をベースにすっきりと仕上げられている。化学調味料不使用、天然素材の旨みだけを抽出したスープは角がなくまろやかで、やさしい。食べた後に不思議と喉が渇かないのは、良いラーメンの証だろう。「今も日々研究中です」と語る氏の実直な人柄が表れた一杯だ。
石川県金沢市此花町2-4 TEL/076-264-2229
営/11:00~14:00、17:00~21:00
休/月曜(祝日の場合は営業)、日曜夜 席/16席
P/指定Pあり
予算/690円~
下町風情の残る別院通り商店街にある『あかめ寿し』。地元の常連客や家族連れ、界隈のサラリーマンから愛され続ける、賑わいの絶えない一軒だ。近海ものの旬のネタを活かした寿司はもちろんのこと、焼き物、蒸し物、揚げ物といった一品料理や加賀野菜を使ったメニューなど、多彩な品書きが大きな魅力である。そして、同店を訪れたら忘れずにオーダーしたいのが金沢港から仕入れる活カワハギだ。カウンター横の生簀から取り上げて活け締めしたものを、薄造りや握りで提供。鮮度抜群だから、違いは歴然だ。
一人、カウンターで寿司をつまむのもよし、2階座敷で家族や仲間と盛り上がるもよし。使い勝手が良いのも、長年愛されている理由の一つだろう。
石川県金沢市本町1-9-15 TEL/076-263-9787
営/11:30~14:00 ※土日祝は予約のみ営業、17:00~24:00(L.O.23:00)
休/木曜
席/カウンター12席、1階座敷24席、2階座敷35席 P/6台
予算/昼1,500円~、夜5,000円~
全10席の隠れ家的な割烹料理店。京都や東京の名店、イタリアの日本料理店でも修業を重ねた経歴を持つ若き店主・東木宏憲さんがカウンターで出迎える。日々、自らの目で旬の地魚を選りすぐり、丹精込めて仕上げる料理は、季節感に彩られており、目にも楽しい。夜はコース料理が主体だが、格式ばっておらず、若い人も通える気取りのない雰囲気でファンを増やしている。カウンターの奥で常に手を動かしながら客席に気を配る東木さん。寿司も握れば、花も活け、さらにはソムリエや利き酒師の資格も持っているという熱心さだ。それはすべて「お客様に楽しんでもらいたい」という一心から。その心意気に惹かれて、通いたくなるのだ。
石川県金沢市此花町1-6 TEL/076-224-4266
営/11:30~14:00、18:00~23:00 ※できれば予約を
休/水曜 席/カウンター4席、テーブル6席
P/なし
予算/昼880円~、夜3,800円~
会席料理や一品料理が楽しめる『大名茶家』の「そばの実雑炊」は創業より提供する息の長いメニューだ。「初代である祖父が、出身地の長野から届いた蕎麦の実で作ったのが始まり。現在も当時と同じレシピで作っています」と吉岡さん。当初は会席料理の最後に供していたため味付けはあっさり。滋味深い蕎麦の実とやさしい味わいのだしが、さらさらと軽やかに胃に収まる、〆にぴったりの一品だ。昔を懐かしんで注文する常連客もいるというこの雑炊。三代にわたって受け継がれた味わいは、今も人々に愛され続けている。
また、店内の至ることに展示された初代が収集した加賀藩ゆかりの品などの古美術も興味深い。
石川県金沢市此花町7-5-1 TEL/076-231-5121
営/11:30~14:00、17:00~21:30(L.O.)
休/なし 席/120席
P/あり
予算/5,000円~
金沢駅近くの本町界隈は、ところどころに古い町家や木造建築が残る、新旧の香りの入り混じった町だ。この地に暖簾を掲げる『かなめ』も、古き良き風情を残す明治の町家を再生した焼肉店である。奥行きのある造りに、明かり窓のある吹き抜け、そして坪庭。歳月を重ねた空間は味わい深く、その佇まいが醸し出す穏やかな空気が和みの時間を演出してくれる。
味わえるのは店主の確かな目で選び抜いた肉。新鮮さにこだわり、その日の分だけ丁寧な下処理を施して用意。その肉質の良さと良心的な価格、接客の良さが口伝えに広がり、客足の途絶えぬ盛況ぶりをみせている。
石川県金沢市本町2-3-23 TEL/076-262-2981
営/17:00頃~23:00頃 休/月曜
席/カウンター6席、座敷34席
P/なし(隣にコインパーキングあり)
予算/4,000円~
古い町家に真新しい暖簾がかかったのは、2011年10月。店主の宮田和則さんは、20歳で日本料理の道に入り、20余年。京都の有名料亭で研鑽を積んだ確かな腕の持ち主だ。
一品を味わうたび、次への期待が高まる料理の数々。見慣れた食材さえも新鮮に映し出す逸品は、素材の魅力を客人に届けるべく心を砕いた仕事の賜物だ。「どうすれば食材が引き立つかを常に考えます。その方法はただ茹でるだけかもしれないし、しっかりと作りこむ形かもしれない。どう手を加えれば素材の力強さを表現できるか、との問いが私の料理の原点」。氏の手にかかれば、見知った加賀野菜や地の魚も新たな表情を得て、器で輝く。
石川県金沢市六枚町2-7 TEL/076-221-6166
営/11:30~15:00、17:30~22:00 ※昼営業は月・火・金・土・日曜のみ。
休/水曜、月1回火曜(不定)
席/20席 P/5台
予算/昼4,000円~、夜8,500円~ ※料理は全てコースで提供。