寺村輝夫のとんち話・むかし話
読み聞かせ甲斐がある本(幼児・低学年向け)
読書は知的成長には欠かせないというのはもちろんなのですが、
幼児期や小学生に何を読むのがいいかという質問をよく受けます。
本人に選ばせるのが基本なのですが、
大人が持っておいてほしい視点は、
文章全体としては、オチがある話
ジャンルとしては、昔話・伝承と伝記
です。その話も、内容が基礎教養になるだけでなく、
きちんと話の筋を追っていかないと面白さが理解できないようになっています。
基礎教養の面でも、竜宮城や桃太郎を知らない小学生も普通にいますし、
天岩戸の話なんて中学生でも壊滅的に知りません。
ユダという人がどんな人か、ノアの箱舟がどんな話かもほとんど知りません。
教養的なことよりもっと危険なのは、
スマホ育児が浸透したせいか、
さっと目を通すだけで分かった気にならないものに対する抵抗感は、
年々強くなっています。
つまり文章全体を読むのを、面倒がってやらない生徒が、
成績優秀層・そうでない生徒問わず爆発的に増えている印象です。
先ほど挙げた「文章全体としては、オチがある話」というポイントは、
話の前半部分が頭に入っていないと、
後半になると意味がわからなくなってしまうものです。
そして一度面白さを味わってしまったら、
子どものことですから勝手に好きになっていきます。
今回おすすめするのは、寺村輝夫という児童文学作家が1970年代から発刊した、
むかし話シリーズです。
一休さん・吉四六さん・彦一さんのとんち話、
わらいばなし・ほらばなし、
おにのはなし・てんぐのはなし・おばけのはなし1~3、
日本むかしばなし1~5
というシリーズがあります。
話の構成が平易で、しかもしっかりしているので、
読み聞かせにも抜群です。
こういうしっかりオチがある話は、
お家の方がしんどく思いがちな読み聞かせの宿題であったとしても、
オチの部分で子どもが目をまんまるにして、
素直に感情を出してくれるので、
読み聞かせ甲斐がある本になりますよ。
※掲載されている情報は、2021年12月以前に取材した内容です。時間の経過により実際と異なる場合があります。