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【個性派本屋さん特集】金沢初?!のブックカフェ『あうん堂』の店主本多さんが語るこれから目指すお店の姿。

2025年1月20日(月) | テーマ/エトセトラ

シルシル
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2004年に「好きなことを仕事にしよう」と本好きの店主本多さんが始めたBooks & Cafe『あうん堂』は、2024年で20周年を迎えました。金沢市東山にある自宅の一部を改装して開いたブックカフェは、当時は珍しいスタイルだったそう。

シルシル
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地元の本好きの間では、知らない人がいないほど知名度のある『あうん堂』ですが、このスタイルで続けるのは、実はあと3年なんだそうです…!「ずっと気になっていたんだけど…」という方は、ぜひこの機会に足を運んでみてくださいね。

【金沢ブックカフェの先駆け】

旧国鉄を51歳のときに早期退職し、ご自身の1万冊以上の本を元に53歳で開業したBooks & Cafe『あうん堂』は「珈琲の飲める古本屋」として、長年親しまれています。今ではよく見かけるようになった「本」と「珈琲」を組み合わせたブックカフェですが、20年前は目新しく、金沢ブックカフェの先駆けとなる存在でした。あうん堂を訪れて、古書店を開いた人やブックカフェをオープンした人もいるのだそうです。

曇天が続く冬の金沢であっても、時折差し込む自然光のおかげで明るい店内は、常連さんはもちろんのこと、初めての人も受け入れてくれる懐の深さを感じます。まるで気心知れた友人の家に遊びにきたような気持ちになるのは、靴を脱いで入るせいかもしれません。

外との区切りとなる玄関は、ガラス扉のおかげか解放感があり、装丁の美しい本や絵が迎えてくれる小さなギャラリーのような雰囲気です。

1万冊以上の蔵書の中から、厳選した約2,000冊の本を並べるあうん堂は、本が床に直置きされていません。装丁が見えるよう表紙を向けて陳列されていたり、本棚の本も取り出しやすいように少し余裕を持って並んでいます。一冊の本がとても大事に扱われている印象を受けました。本にやさしい空間はそこを訪れる人にもやさしく、身長157cmの私でも1番上の本棚に少し背伸びをすれば届きますし、小さなイスも置かれていて細かな配慮を感じます。

店内中央にある真っ白な漆喰の壁は、カフェスペースとの仕切りになっています。珈琲とおしゃべりを楽しみたい人と、本を選びたい人の目線が合わないよう、絶妙な高さにくり抜かれた横長の穴は、本棚側にいる人にとっては温かな明かりが差し込んできて、ちょっとした隠れ家気分も味わえます。

【こだわり珈琲とお手製カレー】

今でこそ、焙煎所や珈琲豆の詳細がカフェメニューに明記されることは当たり前となりましたが、あうん堂をオープンした当初は、焙煎先の名前を出していいかと聞くたびに驚かれたといいます。

「二三味珈琲さんのある珠洲市木の浦に訪れた際は、失礼な言い方になるかもしれませんが、こんな不便なところでも生業ができるのだと感銘を受けたことを覚えています。東出珈琲店さんにお店の名前を記したいと言ったら、珍しがりながらも快く了承してくれました。中川ワニ珈琲さんの本を読んで珈琲の淹れ方を覚えたので、取り扱いたい旨を手紙に書いてお願いしました。どの珈琲にも思い入れがありますよ」

メールでのやり取りが当たり前になり、自分の手で字を書くことがだんだんと少なくなってきた身としては、背筋が伸びるお話です。

あったらラッキー、「中川ワニ珈琲」さん。この表示が目印です。

「古本屋おやじのチキンカレー」もおすすめです。鶏肉と野菜がトロトロになるまで煮込まれていて、ほどよく効いたスパイスにスプーンを動かす手が止まりません。

カフェのドリンクやおやつは基本的に奥さんの恵子さんが作られているそうですが、カレーだけは本多さんの担当なのだそう。理系出身の鉄道マンとあって、材料は毎回きっちり計量して作っているそうですよ。

【このスタイルで続けるのはあと3年】

2024年で20周年を迎えた同店。このスタイルでの営業はあと3年ほどだと、本多さんは決めているそうです。

「会社勤めではないので定年がないからね。一つの区切りを決めようと思っています。あうん堂はやめないし、この場所はなくならないけれど、もう少し違った形で本に関わることをしたいと思っています。本を間に挟んだワクワクするようなことを、と考えてはいますが、具体的には考え中です」

あうん堂ではこれまで、一箱古本市や展示会、作家さんを呼んでのトークライブなど、様々なイベントを開催してきました。シンガーソングライター二階堂和美さんが出演した20周年記念スペシャルライブは大盛況だったそうです。減り続けている町の本屋さん、活字離れ、出版不況など、明るくない話題が「本」を取り巻いてはいますが、こうしたユニークで個性的な本屋さんがいてくれることは、本好きにとっても、金沢という街にとっても、とてもありがたいことですね。

自宅でも仕事場でもない「サードプレイス」という言葉は、今では使い古されているのかもしれませんが、紛れもなくこの場所は、幅広い年代から支持される第3の居場所だと感じました。奥様と二人三脚で育んできたあうん堂が、これからどんな風に変わっていくのか、これからも要注目です。


■あうん堂の詳細はこちらをチェック。

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