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【農援ラボ|ころころ食堂】起業家・女子大生わこえこが運営!規格外野菜で大学生の食環境を改善

2024年6月12日(水) | テーマ/エトセトラ

大学生が大学生のために運営する、野菜たっぷりの食事を提供する食堂が金沢大学の角間キャンパスの一角にある。その名も「ころころ食堂」。金沢大学の学生でYouTuberでもあるニコイチ女子大生わこえこ(鳳わこ&凰えこ)の2人が、仕入れから調理、提供、運営のすべてを担っている。

「ころころ食堂」は、2023年10月に金沢大学の角間キャンパス中地区にオープンした中福利施設の1階「ナカフクリ食堂」内の一店舗。学生の起業チャレンジショップとして1年半の契約で出店し、廃棄される野菜を活用した健康で美味しい料理を提供しながら、食品ロス問題に関する学びも提供している。

メニューは「日替わり丼」と「日替わりランチセット(丼+スープ&パン)」「満腹セット(丼+スープ&パン+果物のデザート)」の3種類。2人で仕込みや提供を分担しながら、受講する講義をやりくりして平日は毎日ランチを提供している。

取材当日の丼は、ニンジン、キュウリ、竹の子、キャベツのキムチ、挽肉のそぼろを石川県産のご飯にたっぷり盛りつけた「ビビンバ丼」。ご飯は大盛り無料で食べ盛りの大学生にも好評だそう。日替わりのポタージュスープは「野菜の組み合わせ次第でさまざまなスープが作れます。たくさん野菜を使うので栄養も満点ですよ!」とわこさん。

デザートは収穫期の秋にジャムにした柿を使ったゼリー。「ころころ食堂」のメニューは野菜が中心なので、ビーガンやハラルなど食の制約がある学生のニーズにもマッチし、留学生の利用も多いという。

現在、大学4年生(留学期間があるため在学5年目)のわこ(左)さん、えこ(右)さんは、約4年前の大学1年の秋にチーム「わこころ」を結成。実は、わこさんの実家は淡路島の農家で、幼い頃から規格外の野菜を食べていたそう。

大学生になり、カップ麺や簡単なもので食事を済ませる学生が多い現状を知り、栄養が偏りがちな食生活を改善するため、規格外野菜を活用したスープを提供・販売したいと大学2年の夏から活動を始めた。

また、「実家では市場に出せない規格外の野菜を食べるのが当たり前でしたが、自炊を始めてスーパーにそうしたものが並んでいないことに衝撃を受けました。大学の授業で食品ロスの問題について学んだことで、廃棄される野菜があることを知り、自分にできることをしたいと思うようになりました」とわこさん。

まずは実家で食べていた野菜スープの提供から始めよう! そうしたわこさんの想いに、日頃から一緒に料理をして食べる機会が多かった友人のえこさんも賛同。共に活動を始めることにした。

しかし、その想いはコロナ禍という現実に阻まれる。「学内での提供は難しかったので、石川県内外のイベントに出店して活動実績を積みました。農家さんや企業を訪れ約200人の方にお話もうかがいました。車を持っていないので、片道10kmでも自転車で行っていたんですよ」

大学外での活動を続けながらも、大学で野菜スープを提供したいという思いは消えることはなかった。2023年の春に「ナカフクリ食堂」がオープンすると決まり、その一角で店を営業しないかと声がかかった。

活動するなかで集まった食に興味を持つ学生と一緒に、2023年の春に食に関する学びを実現する学生団体「ころころ」を結成。メンバーと一緒にコンセプトを考え、試食会や大学の敷地内でテント出店するなどして開店準備を進めていった。

食材の仕入れ先は、コロナ禍の期間に訪問してできたご縁が中心。石川県産の青果物を扱う多くの企業・農家から協力が得られた。「はち切れるほど膨らんだトマトは栄養も美味しさも抜群で、熟して赤くなったピーマンは苦味が少なく栄養も満点。『安価だから規格外野菜を使う』のではなく、お金を払って購入したり、お仕事のお手伝いの対価として提供してもらうなど、きちんと価値を交換できるよう心がけています」

農業に興味のある「ころころ」の学生メンバーと農家訪問や農業体験に行くこともあり、ただ野菜調達をするだけでなく、学生にとっても農家にとっても新たな気づきや学びを得られる機会になるよう、工夫しながら活動している。

2人は「ころころ食堂」のオープンと同時に、「わこころ合同会社」を起ち上げた。イベント出店や食品ロス問題の解決に関する活動をはじめ、小・中・高校や大学などの教育機関や社会人向けのセミナーで、SDGsや食品ロス問題についての講演や学びのサポートを行う。学生と企業の出会いを目指し「SDGs就活イベント」を開催し、SNSでの情報発信、地元テレビ番組のSDGsコーナーのパーソナリティとしても出演する。

「これからの社会を担う学生が、規格外野菜の美味しさや食品ロス問題について知り、考え、行動するきっかけを作りたい」という「わこころ」の活動は、「石川県 エコデザイン賞 教育・社会活動領域 金賞受賞」「消費者庁 食品ロス削減推進表彰審査委員会特別賞」や金沢大学で開催された「アントレプレナーコンテスト 最優秀賞」など数々の賞も受賞している。

「大学卒業後も『わこころ』として、私たちにも地球にもやさしい社会の実現を目指した事業を行っていく予定です。規格外の野菜を使った料理のお店や商品の開発など、これまでの活動で得た学びを活かしながら、新たな事業にも挑戦していきたい」と話す2人。その瞳に迷いはなかった。


■ころころ食堂
住所/石川県金沢市角間町 金沢大学
角間キャンパス中地区 福利施設1階 ナカフクリ食堂内
営業時間/平日11:00〜14:00

ころころ食堂 公式Instagram
https://www.instagram.com/corocoro_6565

わこえこ 公式Instagram
https://www.instagram.com/wacoecodiary

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※掲載されている情報は、2024年6月12日以前に取材した内容です。時間の経過により実際と異なる場合があります。

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