【フィオリキアリ】農業経験を有するシェフの知見が詰まった本格イタリアン
2023年12月4日(月) | テーマ/エトセトラ
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2023年8月、能登半島七尾市に、本格的なコース料理を提供するイタリアンレストラン『フィオリキアリ』がオープン。同店のシェフ・桶谷晃さんの実家は民宿『つるや』を経営しており、その隣接地に構えた。
金沢や東京のイタリアンで料理の研鑽を積み、修行時代は野菜はメインの付け合わせというイメージがあったが、野菜の知識を深めようと能登島の農園で農業にも従事。「修行時代の店では外国産の輸入業社から野菜を購入していたのですが、実際に農園で働くことで、商品として販売できない規格外の野菜のロスが多いことに気付きました。また、採れたての野菜の美味しさや現場の風景、四季にインスピレーションを受けました」
野菜の食品ロスという問題に対して、完成された野菜ではなく、その過程の中のものや販売されないものをどう使うか、どのように活かした料理にしようか日々考えているそう。「例えば、大根にしても小さい時期は飾りとして使うとか、辛味を使いたいから演出として使うとか調理方法でも材料によって役割が違うので、自分でいろんなものを組み合わせていきたい」と言う。
フィオリキアリの料理は、高農園の野菜をメインに、同じく高農園で働いた仲間が独立した七尾市の白馬農園から仕入れることもあるそう。他にもジビエや牡蠣なども知り合いや同級生などの人柄まで知る間柄の人から仕入れている。きのこや山菜などは自ら山に入り採ってくるのだとか。
オープン間も無いが本格的なイタリアンを味わえると聞いた、地元の人を始め、飲食関係者も訪れ「美味しい」と評判だ。地元の方が好む料理と食に興味があり訪れる人とで、提供する料理の構成を変えているそう。「例えば地元の方の場合は、鴨やイノシシなど食材に対する先入観もあるので、そうした時には甘エビなど、一般的な食材でその時の旬のものを使用しています」と料理を楽しんでもらえるよう工夫している。
『フィオリキアリ』の調理場とカウンターには仕切りを設けず、開放的な空間に仕上げている。「お客様に、何故この野菜のこの部分を使って、どう調理したのかなど料理の説明をしていきたい」とこだわった。
「お客様に説明して分かっていただくことも大切ですが、それ以上に見えないところまで綺麗にし、清潔さを保つ気配りを大事にしています」と言う。それは修行時代に学び、桶谷シェフがずっと大切にしていること。気配りを持つことは料理に対してもその姿勢が表れる。本格的なイタリアンを堪能し、食材や桶谷シェフの話を楽しみに訪れてみてはいかがだろうか。大切な人と共に贅沢な時間を過ごせるに違いない。