【イシカワズカン】地元牛乳のおいしさ詰め込む|能登ミルク
2023年6月16日(金) | テーマ/エトセトラ
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石川県の行楽地として名高い七尾市の和倉温泉。そこに、能登産牛乳「能登ミルク」の魅力を伝えるジェラート店がある。
代表を務める堀川昇吾さん(59)=七尾市出身=は28歳のときに、実家の牛乳卸会社を継いだ。手間をかけて質を高めた牛乳が安値で販売されることに疑問を持ち、「コストや品質に見合う適正な価格を守ろう」とブランド化に向けて取り組みを始めた。堀川さんのもとで同じ志を持つ能登地域の酪農家が結束し、2006年に新たなブランド「能登ミルク」が誕生したのだ。
能登ミルクを使ったジェラートは「芳醇な甘みが口の中に広がり、体に染み渡っていく」と評される。奥深い味わいの秘密は、乳牛に無農薬の牧草を与え、厩舎に閉じ込めず放牧を基本とする特別な飼育方法にある。季節に応じて発酵させた干し草を食べさせるなど、牛たちにストレスを与えない環境を整えているのだ。「牛乳に含まれる脂肪分は季節で変わるので、夏はさっぱり、冬は濃厚な味になります。旬の牛乳を楽しんでください」と堀川さんは話す。
能登ミルクは当初卸売りがメインだったが、能登ミルクのおいしさを多くの人に直接届けるべく2018年に直営のカフェを構えた。開店のきっかけは堀川さんの娘、宙(そら)さんが「アイスクリームを作って、お父さんの仕事を手伝いたい」と言ったこと。その言葉通りに宙さんは高校卒業後、日本のジェラートの第一人者植木耕太シェフのもと、イタリアで本場のジェラート作りを学んだ。その熱意やすさまじく、日本ジェラート協会が技術と知識を持ったシェフに贈る「ジェラートマエストロ・マイスター」を当時最年少の20歳1か月で獲得し、一躍地元の話題となった。今、宙さんは夢だったジェラートづくりに日々情熱を燃やしている。
能登上布の暖簾をくぐり白を基調とした店内に入ると、懐かしさを感じさせる瓶ミルクや様々なジェラートが並ぶ。カウンター席やテーブル席、テラス席もあるので、和倉温泉の散歩の休憩でもゆっくりと過ごすことができる。店内には実際に40年ほど前に使用されていたミルク缶が並ぶ。地元出身のデザイナーのイラストなど遊び心あるデザインに彩られ、待ち時間すら楽しくなってしまう。
店の1番人気は牛乳の味わいがダイレクトに感じられる「能登ミルクジェラート」。
「ジェラートは材料全体の6割ほどの牛乳を入れれば足りるのですが、うちは牛乳が8割です。能登ミルクのおいしさがはっきり伝わるように工夫しました」と宙さんは胸を張る。
他の材料も奥能登伝統の揚げ浜塩など地元食材をふんだんに織り込み、旬のイチゴなど季節ごとに楽しめるメニューが豊富に揃っている。店内のショップはキーホルダーやTシャツなどオリジナルグッズ、能登ミルクを使ったパンやクッキーなども並んでいてお土産選びにも悩んでしまいそうだ。