かやす
今日ご紹介する金沢弁は、「かやす」です。
倒す、ひっくり返す、物を倒して中身をこぼす、という意味があります。
父が晩酌する人だったので、子供の頃は毎晩のように
「お酒、つるつるいっぱい入れて持ってきて。かやさんように気をつけてや」
(お酒は表面張力ギリギリまで入れて持ってきて。こぼさないように気をつけてね)
と言われていました。
ちなみに、自動詞になると、「かやる」となり、
「あらー、あの子、かやりそうや」
(あら、あの子、転びそうよ)
「このコップ真ん中おいてま。そんうちかやっろ」
(このコップ、真ん中においてよ。そのうち倒れ〈て、こぼれ〉ちゃうよ)
という風に使います。中に液体が入っているとひっくり返すだけでなく
こぼすことへの注意まで伝えるニュアンスが加わる不思議な言葉です。