「総合的な学習の時間（探究学習）」とは、生徒自らが課題を設定し、解決に向けて自発的に情報を収集・整理・分析したり、周囲の人と意見交換・協働したりしながら進めていく学習活動のこと。子どもたちの思考力や判断力、表現力の育成を目的として、小学校や中学校、高等学校で授業が行われている。

今回紹介する書籍『大人を本気にさせる子どもたち』は、金沢大学附属小学校教諭・福田 晃氏が、小学校3・4年複式学級の児童との約2年にわたる「総合的な学習の時間」の授業の取り組みを記録したもの。児童たちは金沢市にも存在する「空き家問題の解決」をテーマに定めて、町家で新たな体験事業を提案。活動をすすめるうち、地域ならではの伝統技法ながら埋もれている「金沢からかみ」に出合う。その存在を広めたいとクラウドファンディングを行い、販売するECサイトがつくられ、ついにはオリンピック関連推進事業室と協働するなど、「金沢からかみ」を海外へ伝え、国際交流のきっかけをつくっていったそう。

知らない大人と交渉したり、仲間とアイデアを出し合ったり、それらを形にするために周りの人に協力してもらったり・・・。教科のように覚える授業では学べない、実社会に出た時に必ず役に立つ経験を積める総合的な学習の時間の重要性が解る一冊だ。

－－－紹介書籍－－－
●書籍名：「大人を本気にさせる子どもたち」（さくら社）
●著者：金沢大学附属小学校教諭　福田 晃、株式会社こはく 山田滋彦
●定価：1,700円(税別)
●発売日：2021年7月27日
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