シリーズ金沢の坂 その11「鶴間坂」
2016年8月2日(火) | テーマ/金沢の雑学
以前、自分が担当している雑誌『金澤』で坂道の特集をしたことがあって、その際に金沢市内の坂を手当たり次第に歩いた。歩きすぎて膝が痛くなり、しばらく階段の昇り降りに随分と苦労させられたくらいに。
そうして歩いた数々の坂道。今回は、そのなかで個人的に最も気に入った坂を紹介したいと思います。
ところは加賀前田家三代、利常公の正室・珠姫の菩提寺「天徳院」の近く(ちょっと歩きますが)。金沢商業高校の裏手(小立野5丁目)に降り口があり、そこから旭町3丁目へと下っていく個性的な坂(全長400m)。
「鶴間坂」である。
この坂の特徴は、何といっても中盤に現れるヘアピンカーブの折り返し。折り返して下った先に祠があり、一息入れることもできる。
周りは目に優しい深い緑に囲まれ、リズミカルな鳥のさえずりも楽しい。さらに坂下に近づくにつれて聞こえてくるせせらぎ(旭用水)の音色に、頬をなでるように吹き抜ける心地よい風。
これは、小立野台地がつくりだした坂道の最高傑作だと思う。
このあたりはその昔、鶴が舞っていたことから「鶴舞谷」と呼ばれ、谷を下る坂を「鶴舞坂」と称したのが始まりのようだ。それがいつしか「鶴間坂」に転じたというわけである。
天徳院を訪れた際は、ちょいと足を延ばしてみてください。
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