謎多き徽軫灯籠
2015年7月30日(木) | テーマ/金沢の雑学
世の観光写真の多くにはベタ(というかお決まり)な構図というものがあって、われらが兼六園であれば、それは「徽軫灯籠」を右手あたりに配置した霞ヶ池の写真ということになるだろう(冬場なら雪吊りですが)。
徽軫灯籠の「徽軫」――随分と画数が多くて難しい漢字だが、ことじ、と読む。由来は楽器の琴の音の高低を調節する琴柱(ことじ)に形が似ているからということで、字は違えど「徽」も「軫」も琴の音を調整するといった意味を持つようだ(つまり琴柱とほぼ同じ意味)。ならば、どうしていっそ「琴柱」にしなかったのか? その理由に触れた文献は見つからなかった。
また灯籠の2本の脚だが、一方が長くて池の水に浸かっており、もう一方は短くて陸に固定されている。このアンバランス感が灯籠そのものの美しさを際立たせているようにも思え、デザインの妙にいたく感心したりもするわけであるが、調べてみたら、もともとは両脚とも同じ長さで池に浸かっていたようである。明治初期頃に今の姿になったそうだが、そうなった理由は定かではない。ちなみに現在の徽軫灯籠は二代目。昭和52年の暮れに何者かに壊され、作り直されたものである。
なぜ片方の脚が短いのか、なぜあんなに難しい漢字があてられているのか、あるいはなぜ(そして誰が)灯籠を壊したりしたのか?
徽軫灯籠には謎が多いのである。
(写真提供/金沢市)
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