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屋根瓦のルージュ

2014年9月11日(木) | テーマ/金沢の雑学

金沢や能登の伝統的な屋根瓦の色は「黒」。これに対し、南加賀は「赤」が多いことで知られる。とりわけ橋立や東谷地区、大聖寺の山ノ下寺院群が顕著で、独自の景観を形成している。
これを加賀市は「かがルージュ」と称し、観光資源として活かそうと目論んだ。この呼称は、南仏プロバンス地方で春に咲き誇るタンポポの花や建物の色が「プロバンス・イエロー」と呼ばれ、街のシンボルとなっていることにちなんだものだそうだ。しかし、そうした仕掛けも昨年の加賀市長選を境に立ち消えになってしまったようだが・・・。
「かがルージュ」は公称ではなくなったけれど、それほど悪くない呼称のように思う。少なくとも、加賀の赤瓦に思いを向けることの助けにはなる。実際、赤瓦の風景はいつ失われるとも限らない。大丈夫、何も変わらないと高を括っていたら、気がつくと「瓦無い」になったでは洒落にもならない。
加賀の赤瓦は、その色合いや軒先の紋様から島根県の「石州瓦」の系統だと考えられている。山陰地方でも赤い屋根の家並みがよく見られるとのこと。これが江戸後期に北前船で技術移入され、橋立の北前船主らが富の象徴として用いたことが始まりのようだ。凍害に強く、雪国にもぴったりの瓦なのである。

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